万能野菜、パプリカ

 当地に住み始めてもう1年半、最初は慣れなかった自炊にも完全に慣れ、こっちの国の食材でガンガン色々なものを作れるようになりました。

 今日は、そんな中東欧の食卓で最も重要な野菜とまで言われている「パプリカ」について話をしようと思います。

 まず、皆様もパプリカという野菜、「見た目がピーマンに似てるけど苦くない」「見た目が赤くて唐辛子っぽいけど辛くない」「スーパーにあるのは韓国産が多い」くらいの認識はあるとは思います。とはいえ、スーパーで売ってるパプリカは輸入品故に他の野菜を比べるとちょっと割高感もあり、和食にもそこまで用いないこともあってか、そう身近な野菜ではないかと思われます。

 しかし、スロバキアではパプリカは最も身近で良く食される、と言っていいほど浸透している野菜です。

 まず、スーパーのパプリカコーナーがこんな感じです。

近所のスーパーのパプリカコーナー。写真の中のものは全部パプリカ

 パプリカと言えば赤、というイメージが日本人には強いかもしれませんが、こちらのパプリカは赤・黄・緑・白・果てには茶色のものまであります。

日本ではなかなか見ることがない色のパプリカ。ちなみに味はほぼ同じです

 そんなパプリカですが、野菜としての使い勝手は個人的には最高峰レベルだと感じています。

 まず、パプリカは大変柔らかい野菜なので、生で食べられます。そのため、こっちの国のレストランでサラダを頼むとほぼ100%パプリカが入っています。ちなみに我が家では、パプリカをチョップしたものを作り置きし、毎食のサラダに入れて食べるようにしています。

色も綺麗なのでサラダに彩りを足せます

 それから味に癖がないため、お肉料理の付け合わせとして焼いたものを添える、バーベキューで丸焼きにする、素揚げにする、煮込み料理の具材に使うなどなど、幅広い料理・調理法で扱えます。

 また、パプリカはこちらでは「香辛料」としても使います。皆様も「パプリカパウダー」という調味料は聞いたことがあるんじゃないでしょうか。例えば、「チョリソ」というスペインにある赤いソーセージの赤色は、実はパプリカパウダーの色です。

 さらに、パプリカですが「辛い」品種もあります。

スロバキア語で「Hot peppers」と書いてあります

 そもそも、パプリカというのは元々コロンブス中南米から持ち帰った唐辛子がルーツです。唐辛子の辛み成分であるカプサイシンは劣性遺伝子であるため、その後に辛みが出ないようにと品種改良して誕生した野菜こそがパプリカというわけです。このパプリカの品種改良及び大量栽培を昔からやっている国というのが隣国ハンガリーでして、その影響もあってかスロバキア含む中東欧諸国では料理にパプリカを大量に用いるのが定着したようです。そもそも、「パプリカ」という呼び方自体ハンガリー語がルーツとも言われています。