suntanとsunburn

 

今回は、季節も夏ということで、日焼けに関する美意識の話でもしようかと思います。

 

昨今の日本の夏の常識といえば「日焼け防止」です。外出するときの日焼け止め塗布はもちろん、帽子、日傘、サングラス、フェイスガード、ラッシュガード、アームカバーetcと様々な紫外線対策グッズを駆使し、「いかにして日光に当たらないか」に細心の注意を払っている人は都市・田舎を問わず多く見かけます。これは紫外線による肌の老化や皮膚ガン、白内障などといったマイナス効果が世に浸透してきたことと、日本を含むアジア地域では美=白い肌、というイメージが強くあるためです。

 

ではヨーロッパはというと、夏に日焼けした肌こそ至高である、という日本と真逆の考え方です。そして、ヨーロッパ圏がなぜこの発想かというと、バカンス文化と深い関係があります。

ヨーロッパでは、大体6~9月頃をバカンスシーズンとして、多くの人たちが2週間~1ヶ月などの長期休みを取って南の島や山などに行ってのんびり過ごす、という習慣があります。そのため、日焼けした肌というのはバカンスに行ってきた証であり、それはバカンスに行けるだけの財政的余裕がある=富の象徴というイメージが根強く存在します。逆に、一夏を終えたにもかかわらず全く日焼けしていない肌をしている人間は、バカンスに行く余力もない貧乏人か引きこもりの軟弱野郎、などネガティブにとらえられるほどです。そもそも、英語で「日焼け」を表す単語はsuntan(健康的に焼けた肌)とsunburn(日焼けでひりひり痛い肌)と2単語あるように、「良い日焼け」と「悪い日焼け」という概念が存在しています。ここからも、日本とは日焼けのとらえ方が違うということが読み取れます。

 

ちなみに、この日焼けに対する美意識の差はファッションにも現れておりまして、ヨーロッパは高緯度のために基本的には日本より冷涼(というか日本が暑すぎる)なのですが、ヨーロッパ人の方が日本人より薄着です。

まず、男性に関してはほぼ半袖半ズボンで、真夏に外を歩くときの私服が長ズボンなんて人間はほぼいません。日本だと半ズボンは子供っぽくて大人が履くとダサいファッションというイメージが一部言われたりしますが、こっちの人曰く、「日本ははるかに暑いのに長ズボン履くとか正気じゃないね」とのことです。

さらに女性だと、キャミソールで肩丸出し、短いシャツでお腹出し、それお尻見えませんかってくらいの短さのホットパンツと露出多めの人がかなりいます。ありがとう欧米女性。日光を避けるために長袖だったり、ゆるっとしたスカートだったりを着ている人はほぼいません。先日某ヨーロッパの観光都市に行ってきたのですが、アンチ紫外線フル装備な人は99%日本人だな、と一瞬で見分けがつくくらいには日本でよくみる格好というのはこっちでは異端です。こういったファッションの差も、「日焼けはよいものだ」という意識の差からきます。

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先日撮った友人の街角ファッション。暑い日はこんな格好の人が多いです。

ちなみに、上記でヨーロッパでは小麦色の肌=富の象徴、という話をしましたが、タイでは外で肉体労働をしなければならないから色黒は貧富の証と考えられ、真っ白な肌=高給取りオフィスワーカーの証=富の象徴、と完全に真逆の発想になります。美意識や何を富の証とするかなどは、地域ごとの差異は大きくあるわけですね。