街乗りレンタル電動キックボード in Europe

 最近、都内でも「電動キックボードシェア」のサービスが始まったそうです。

luup.sc

 まだ、東京、大阪、京都、横浜の一部でしか使えませんが、今後このサービスもどんどん広がっていくのでしょうかね。

 さて、この電動キックボードですが、実はヨーロッパ各地の都市、そしてブラチスラバにもあります。なんなら、地元民曰く4~5年前からすでにあったということで、日本よりもずっと昔からこのサービスが提供されておりました。本日はキックボードシェアサービスについて話そうかと思います。

 こちらでは何社かキックボードシェアサービスを提供しておりますが、今回は我々が良く使う「TIER」というサービスを紹介します。

www.tier.app

 まず、街中にこんな感じでキックボードの駐車ポイントとなっているスペースがいくつかございます。

 ちなみに、駐車ポイントはアプリでも確認できます。

アプリ画面。乗れるキックボードのバッテリー残量も確認できます。

 そして、お目当てのマシーンを見つけたら、アプリから予約するかマシーンについているQRコードをアプリで読み込み、乗車スタートとなります。

 返却は特定の駐車スポットに停めたのち、アプリで利用終了を押すだけです。料金は初乗り料金が1€+1分あたり0.16€かかりますので、10分くらい乗ると大体2.5€くらいになりますね。体感としては、トラムやバスなどの公共交通機関よりは割高だが、タクシーより安くなおかつ自由度が高い、という位置づけのモビリティです。バスやトラムでは行きにくいが、歩くにはちょっと遠いところに行くのにちょうどいい感じです。

 基本的な操作方法は今日本でサービス展開しているLUUPのキックボードと全く同じですので、参考に乗り方の動画も下記に貼っておきます。

www.youtube.com

 さて、この電動キックボードシェアサービスですが、乗り方・操作方法などは日本もヨーロッパもおおむね変わりません。一方で、乗り物の性能には大きな違いがございます。

 まず、日本の電動キックボードは「道路交通法」の制約を受けることとなります。動画の乗車の様子と私があげた写真を見れば違いがすぐ分かると思うのですが、日本のキックボードにはバックミラー及びナンバープレートがついている一方、ヨーロッパのものにはついていません。これは、日本では電動キックボードは改正道交法で新たに規定された「特定小型原動機付き自転車」というカテゴリーに含まれており、ナンバープレートやミラーの着用が義務であるためです。

 また、もう1つの違いとして最高速度制限があります。日本の「特定小型原動機付き自転車」は最高速度が20km/h以内と定められており、LUUPで貸し出しているキックボードも15km/hまでしか出ないよう制限がかけられているそうです。一方、当地の道路交通法の詳細までは分かりませんが、私が乗ったキックボードは最高25km/hまで出ますのですが、乗っていると大分早いなぁと感じます。

 あと、これは都市整備の問題で、日本は道路に「自転車道」というものがあまりついておりません。ヨーロッパの市街は主要な道路には全て「自転車道」が整備されているため、電動キックボードもこの自転車道を走ればよいです。一方の日本では、「特定小型原動機付き自転車」は歩道を走っていいのかが法律上いまいちよく分からん仕様になっておるのですが、いずれにしても自転車道のない日本の道では車道の隙間か、低速で歩道を走らざるを得ません。

 LUUPの使用レビューでは、「15km/hは遅すぎる」というコメントをよく見ますが、逆に日本で25km/hまでぶっ飛ばせる仕様の電動キックボードを使えば、転んで骨折する、歩行者とぶつかって大怪我をするなどの事案が発生するんじゃないかなぁという気がします。あと、これは日本でありがちなことですが、個人に帰属する操作ミスで事故が起きたのに、自己責任ではなく「企業」や「社会ルール」の責任になることが多々あります。こうした傾向も相まって、日本では便利なモビリティも、制限によって少々使いにくいものになっちゃうんだろうな~とは感じます。まぁ逆にヨーロッパ社会が自己責任をいいことに色んなことがザルでそれはそれで危ないとも言えますが。

 ただまぁこの電動キックボード、欧州の青空の下で、旧市街や川沿いを走るとものすごく気持ちがいいんですよね。乗り物としてのエンターテインメント性は抜群です。

 

www.youtube.com

 街中を電動キックボードで走った映像を撮りましたのでお暇な方は是非ご視聴ください。