交通事故の話

 本日は書こうと思っていた記事を急遽切り替えました。というのもスロバキア社会に衝撃を与える事故が起こったからです。

 10月2日の夜、スロバキアのバス停に速度超過の車が突っ込み、バスを待っていた乗客複数名にぶつかるという事故がおきました。

Four people die after car hits bus stop in Bratislava

https://spectator.sme.sk/c/23023164/four-people-die-after-car-hits-bus-stop-in-bratislava.html

 報道当初は死者が4名でしたが、後に重体の1名も亡くなったため犠牲者は5名となっています。

 この事故があったバス停なんですが、ブラチスラバ中心部の幹線道路沿い、大統領宮殿の目と鼻の先にあり利用者が多く、さらに大学寮の往復バスや地方へ行く長距離バスも多く乗り入れるバス停であったため、犠牲者のうち3名は大学生でした。

 そして、本事故の加害者であるドライバーはなんですが飲酒運転、しかも相当量の酒を飲んでいたことが判明しています。当時の事故時の映像が残っているのですが、首都中心部の幹線道路で出していいはずがない速度で人に突っ込んでいる車の様子が写っておりました。

 本件、スロバキア社会ではかなりの衝撃でありまして、次の日にチャプトヴァー大統領が現場に献花に訪れた他、ブラチスラバ旧市街プリマティア宮殿には喪章を模した黒い旗が掲げられるなど、政府要人にも大きな反応があったほどです。さすがに首都のど真ん中での飲酒運転事故、しかも若い人が複数亡くなったこともあり社会全体で動揺している様子がうかがえます。

 
 
 
 
 
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黒い旗が掲げられたプリマティア宮殿

 これはあくまで個人の感覚なのですが、当地の飲酒運転に関する意識の高さはどの程度なのかは気になります。まず、スロバキア人というかスラブ系民族ってとにかくお酒が大好きですし、あと酒にめちゃめちゃ強いんですよね。実際、この国は以前のブログにも書いたとおり水より酒の方が安いという国でありまして、屋外で朝ご飯代わりにビールとつまみをキメているおじさんおばさんというのを良く観測します。また、ビール以外にもワインや果実蒸留酒などお酒の種類も日本よりはるかに豊富で充実しております。

 あともう一つ、この国って自転車の飲酒運転は違法ではないようなんですよね。なので、サイクリングロードの脇に休憩所よろしくビール飲める飲食店ってたくさんありますし、サイクリストが休憩がてらビール飲んでいます。まぁスラブ系民族は肝臓が極東人と比べると遙かに強靱なので、ビール程度ではそんなに酔わないのかもしれません。今回の加害者の飲酒歴などは報道されていないので詳細は分からないのですが、当地の飲酒習慣は日本よりはるかに浸透しているんじゃないかなぁと過ごしていて感じます。

 とはいえ、我が国でも古くは危険運転致死罪設立の契機になったといわれる1999年の東名高速飲酒運転事故、同条文の適用を巡って社会が大もめした2006年の福岡海の中道大橋飲酒運転事故など過去にあった痛ましい事故を踏まえ、少しずつ飲酒運転撲滅に向けて社会の意識をアップデートしてきました。まだまだ飲酒運転は無くなってはおりませんが、私が生きている30余念あまりでもだいぶ飲酒運転意識は向上してきたと思います。

ja.wikipedia.org

ja.wikipedia.org

 

 ただ、社会において飲酒運転撲滅のためにはこうした貴い犠牲が必要、ということであればやっぱりそれは悲しいものです。スロバキア社会でもこうした痛ましい事故が二度と起きないことを願うばかりですね。

 

【追記】

 本件の犯人ですが、当初は警察に対して威圧的な態度を取っていたそうですが、次の日にアルコールが抜けてからは警察に自殺用の拳銃を貸してほしいと懇願するほどに憔悴した状態になったとのことです。

 この男ですが、当日も朝から自宅で飲酒、職場でも飲酒をしていたということで、医学的な診断はまだ出ていないですがいわゆる「アルコール中毒」だったのでは、と見らえています。

 スロバキアで飲酒運転による事故事例としては本件が過去最悪とのことらしいです。今後、スロバキアでも飲酒運転に対する厳罰化が進むかもしれません。