サマータイム終了

本来ならば1か月前に書きたかったのですが、ほかに色々と書きたいことが多くてこんなに遅くなってしまいました。

 

11月から欧州では、サマータイムから標準時に切り替わりました。

 

このサマータイム、日本にはない制度ゆえに知らない人も多いと思いますので、今日は「いつもと同じ時間に寝たはずなのに寝不足になる!?」という不可思議な現象について話をしようと思います。

 

サマータイム制度とは「夏などの日照時間が長い時期に、太陽が出ている時間帯を有効に利用する目的で、標準時を1時間進める制度」のことです。定義を言われても今ひとつよく分からないと思うのですが、本来の標準時なら朝6時のはずのところを朝5時にする制度です。

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出典:日本経済新聞

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO34212610W8A810C1EAC000/

 

何でそんなことをするのかというと、主なメリットとしては「省エネ」「余暇時間増大」「日照時間の有効活用」です。ヨーロッパのような高緯度地域では夏の日照時間はとても長く、一番長い時期では標準時で朝4時には明るくなってきます。ただ、人間が起きるのは6時頃なのでせっかく明るいのに2時間は寝てるのもったいないよね、じゃあ時計を早めてみんな強制的に早起きさせれば、夜の明るい時間が長くなってみんなアクティブに活動できるじゃん!というわけです。また、明るい時間を最大限有効活用できれば、オフィスの照明や冷房の使用も効率化できるなどの省エネ効果も期待できる、という立て付けです。さらに、明るい時間が長ければ、交通事故や犯罪も減るといった効果もあります。

このサマータイム制度のおかげでヨーロッパの夏至は夜9時近くでも日本の夕方くらい明るく、普通に遊び歩いているだけなのに気がつけばもうこんな時間、という状況に陥ります。慣れない夏のヨーロッパ旅行の際、夜時間帯に時計を見てびっくりする日本人は数知れず。あと、時間がずれるということは当然時差も変わってきます。私が今いる中東欧地域は、通常であれば日本と8時間の時差があるのですが、サマータイム中の時差は7時間となるのです。

ただ、このサマータイムですが、欧州でも廃止の方向で進んでいます。サマータイムのデメリットとして昔から指摘されていたのは「強制時間変更による体内時計の乱れ」です。先ほど述べたとおり、サマータイム導入の瞬間は強制的に時計が1時間進みます(具体的には3月のある日が午前1時59分から午前3時になります)。つまり、いつもと同じ時間に寝たはずなのに時計側が1時間圧縮されたので、結果寝不足になってしまいます。また、最近は電子的に制御されたデバイスも昔よりはるかに多くなりましたが、これらがサマータイムによるタイムシフトでバグることも度々問題視されていました(例えば、サマータイムによりシフトにiPhoneのアラームがアジャストできず、その日に1時間寝坊する人が続出したなどがあったようです)。その結果、当初指摘されていたメリットよりデメリットの方が上回るようになり、どんどん廃止に向かっているというわけですね。