水is硬いis洗濯難易度が高い

※ここでいう硬いとはカルシウム、マグネシウムといった金属イオン含有量が多いことを指します。

 

日本の水は軟水、これに対して、ヨーロッパの水は硬水です。これは急峻かつ雨の多い日本国土では雨→飲み水になるサイクルが早いのでミネラルが溶け込む前に水道水になるのですが、ヨーロッパのようななだらかな大陸では地下水の期間が長いため、地下の鉱物が水に溶け込み、水道水は硬水になる傾向にあるためです。

 

これ、私も知識として水が硬いことは知っていたので、「飲み水とか困るなー」ぐらいにしか思っていませんでしたが、実は水の硬度は日常生活に相当影響します。今回、日常生活のうち洗濯のお話を書きます。

日本であれば洗濯は洗濯物を入れて洗剤ぶち込んでスイッチ押せば大概終わりますが、ヨーロッパの洗濯はそんな簡単ではありません。

 

まず、硬水というのは家電製品にめちゃくちゃ悪いです。というのも、硬水というのは鉱物が含まれているため、使用していくうちに石灰、俗にいえば水垢が多量に発生します。

下の写真は自宅で使っている加湿器なのですが、しばらく使っているとこんな感じで大量の石灰がついてしまいます。

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蓋や縁の部分についている白いものが石灰

単なる水垢と侮ってはならず、繰り返し使用するうちにこいつらがどんどんパイプや隙間に付着し、やがてそれが故障の原因となります。

そのため、洗濯する際には必ず石灰中和剤を入れねばなりません。

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こちらでは有名ブランドのカルゴン。洗濯前のドラム内に必ず入れます。

化学物質嫌いの天然自然派意識高い系ママは代わりに酢を使うらしいです。

そして洗濯機の機能ですが、まずは洗濯機のパネルを見ていただきましょう。

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見てもらってもよくわからないと思いますので解説します。

まず、黒いパネルの左側の温度表示でして、なんて20~90度までの温度幅があります。これは、ヨーロッパの洗濯機は基本的に水ではなくお湯で洗濯を行うためです。実は、硬水に含まれるミネラル分は洗剤の洗浄力を阻害する効果があります。そのため、冷たい水では汚れが落とせないことから、お湯にすることで洗浄力を高める必要があるのです。日本でも風呂の温かい残り湯で洗濯機を回すと汚れがよく落ちる的なライフハックがありますが、そもそもこっちではデフォルトで洗濯は温水です。通常の衣類は40度までと洗濯タグに書かれていることが多いので、我が家ではたいてい40度で回します。

さらに、ラピッドモードで59分と表示がある通り、こちらの洗濯機は日本と比べてはるかに長時間回ります。普段の洗濯ではperfect mixモードを使ってますが大体1時間半~2時間弱かかります。長時間・高温という環境で洗うために、衣類は日本と比べて傷みやすいです。あと、柔軟剤を入れないと服がパリッパリになってしまうので、柔軟剤は必須です。柔軟剤は香るタイプが多くて苦手だから~、とかぬるいこと言っている場合ではありません。柔軟剤入れないと服の肌触りが最悪になります。

それから、温水で長時間回すことの弊害として、洗濯物同士の色移りが酷くなります。来た当初にそれを知らず、一度白い肌着と色物衣類を一緒に洗濯した結果、青みがかった肌着が出来上がったことがあります。これを防ぐべく、ヨーロッパでは「色物衣類」と「白衣類」は別に洗うのが常識です。

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我が家では籠を2つ置き、衣類を分けるようにしています。

あと、もう一つ「タオル専用」のかごがあり、タオルはさらに別で洗濯しています。

そして、こちらでは洗う衣類の色で洗剤自体が変わります

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左から、白物衣類用、色物衣類用、柔軟剤

加えて、色物をまとめて洗う際は相互の色移りを防ぐため、Color Catcherという紙を一緒に入れております。

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スーパーや薬局で買えます

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上が入れる前、下が洗濯後。写真だとわかりにくいですが、洗い終わった紙は灰色に変色しており、色素を吸着していることが分かります。

ちなみに、さらに細かく分けると「黒物専用洗剤」というものも市販されており、こだわる人は「黒い服」「色付き衣服」「白い服」と3つに分けて洗濯します。我が家は黒い服がそんなに多くないのと、これ以上分けるのが面倒くさいので、そこまで厳密に分けてはいません。よく「フランス人は黒い服を好む(それこそがおしゃれの真髄云々)」などと能書きを垂れるファッション通がいますが、正直水事情的に黒い服が多いと洗濯上都合がいいことが多いからなんじゃねーのかな、と思わざるを得ません。

 

以下に我が家の洗濯サイクルをまとめます。

〇色物洗濯・・・3~4日に1回。

〇白物洗濯・・・4~5に1回。

〇タオル・・・3日に1回。

実際は日をズラして洗濯しているので、2日に1回以上は洗濯機回してます。

 

他にも、ものすごく汚れた下着なんかは90度のお湯で煮沸洗浄のように洗う機能、泥汚れや食べ物の汚れなど落としにくい汚れのための予洗い機能など、日本の洗濯ではあまり使わない機能もついています。これも、「硬水」という洗浄力が落ちてしまう水であるが故の対策というわけです。

 

こう考えると、細かいことは一切考えず洗いたいものを全部突っ込んで洗剤入れて回せば大体綺麗になる、という日本の洗濯は楽でいいなぁと感じる次第です。

 

他にも我が家にある洗濯機には複数の機能がついているらしいのですが、最大の問題としてマニュアルが仏語、伊語、スロバキア語、チェコ語で書いてあり、英語がついてないんです。だから、正直言って色々ついている機能がよくわかんないんですよね。

 

この硬水の問題、洗濯以外にもほかの家事・家電にも影響を及ぼすのですがそれはまたの機会に。