「スロバキア料理」というもの

 皆様、あけましておめでとうございます。2023年もどうぞよろしくお願いいたします。

 といっても欧州は昨年書いた通りそんな年末年始的な空気感はないので、とくにそれとは関係なく本日は「スロバキア料理」についての記事を書きたいと思います。

そもそもスロバキア料理とは

 いきなりそもそも論から入るのですが、いわゆる「和食」や「フランス料理」などのような体系的なスロバキア料理」というものはありません。これはこの国の歴史が関わってくるのですが、スロバキアはかつてハンガリー王国ハプスブルク帝国に支配されていた期間が長いため、「その国固有の、古来より続く王朝」というものがございません。そのため、古来よりの固有国家の元で育まれた土着の文化というものがあまりないためか、スロバキアではシュニッツェル(オーストリア料理)やグヤーシュ(ハンガリー料理)、ソーセージなど各地域でよく食べられる料理がミックスしたようなものが定番メニューとなっております。ただ、完全にスロバキア料理がない、というわけでなく、日本でいうところの「ご当地メニュー」的な感じで、いくつかスロバキアでよく食される料理というものがあるのです。

定番スロバキア料理

ブリンゾベーハルシュキ

 スロバキア料理といえば、で一番最初に出てくるのがこのブリンゾベーハルシュキです。どういう料理かというと、ブリンザ(羊乳チーズ)で作ったソースとダンプリングにした芋のニョッキにかけて、上にカリッカリに焼いたベーコンを載せた料理です。

 味としては羊乳チーズのクセと香りがかなり強く出る料理です。といってもブリンザチーズ自体日本では相当マイナーな食材なのでなかなか言語化がしにくいのですが、、、スロバキアに来たら大体のガイドにはこれを食えって書いてあります。それくらいの定番料理です。

ブリンゾベーピロヒ

 写真の真ん中、餃子みたいな料理です。ダンプリングした芋で作った皮の中に羊乳チーズを入れ、それを茹でて最後にカリッカリに焼いたベーコンを添えた料理です。

 ちなみにそれを聞いて「あれ?」と思われた方がいるかもしれませんが、先ほど紹介したブリンゾベーハルシュキと素材が同じです。ぶっちゃけて言いますと、見た目が違うだけで味はブリンゾベーハルシュキとブリンゾベーピロヒでほぼ変わりません。旅行ガイドだとこの2つの料理が代表的なスロバキア料理です、と紹介されるためかスロバキアに初めて旅行しに来た人はこの両メニューを注文することが多いそうなのですが、味が同じなので両方頼む必要はないです。

ヴィプラジャーニースイール

 上記ブリンゾベーピロヒの写真の左側の料理で、エダムチーズに衣を付けて揚げた料理です。日本でもおつまみ等でお馴染みの、いわゆる「揚げチーズ」です。これも当地では定番メニューとしてよく食されます。

カプストニツァ

 カプストニツァはザワークラウト(発酵キャベツ)のスープです。併せてソーセージも入れることが多いです。

 この料理ですが、元々は伝統的にクリスマスに食べられることが多い料理でして、冬は食料が乏しくなるので、農閑期の冬に作り置きのザワークラウトを使ってスープを作って食べていたそうです。今となっては、レストランやクリスマスマーケットの屋台では定番メニューとして定着したというわけですね。

 ちなみに色が赤いですがこの赤色はパプリカパウダー由来なので、まったく辛くなく、ザワークラウトの酸味とパプリカパウダーのほろ苦さ、ソーセージの旨味が合わさった優しめの味のスープです。

ジンチカ

 ジンチカ(žintica)はブリンザを作った時に合わせて生成されるホエイ(乳清)を使って作られる飲み物で、田舎の牧場なんかに行くと飲めたりします。。ヨーグルトのホエイだとしゃびしゃびですが、ジンチカはややとろみのある白い液体にツブツブしたチーズが浮いており、見た目的は甘酒に近い飲み物です。

 味なんですが、元々ブリンザチーズが濃い味というのもあって、こっちもなかなか強烈な味がします。ホエイはタンパク質の塊なので、チーズ臭いたんぱく質の液体を飲んでいるような気分になります。

 他にも地方に行くとさらにディープなローカルフードもあるのですが、今回はそのうちいくつか主要なものを紹介させていただきました。