欧州運転・道路事情(高速道路編)

前回の記事に引き続き、今回も欧州の運転・道路事情の話でもしようかと思います。今回は主に高速道路の話です。欧州は地続きに国境を接しているため、車で国境を超えることが簡単にできます。さらに、シェンゲン協定によってEU域内ならば国境検問自体もありません(ただし、最近はコロナウイルス流入対策で国境でワクチンパスポート検査があることも多く、それが国境検問に近い役割を果たしています)。周りをぐるりと海で囲まれ、飛行機か船以外に国境通過手段を持たない島国民育ちとしては、車で易々と国境を越えられるというのはなかなかに楽しいものです。

 

高速料金支払い

スロバキアに限らず、ヨーロッパの高速道路には日本でいう入場ゲートがありません。そのため、一般道→高速道はシームレスに乗ることができます。そして、料金はどうやって支払うかというと、ガソリンスタンドやタバコ屋でチケットを買って窓に貼ります。

チケットは多くの国で10日間、1か月、1年とありまして、一番安い10日間は大体10€くらいです。これを買えば10日間高速乗り放題になるので、区間ごとに相応の額を支払う日本と比べれば破格の安さです。また最近だと、チケットではなくオンラインでナンバープレートを登録する方式を採用している国も多いです。

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ガソリンスタンドなどで買って自分で窓に貼る

ちなみにこれを貼らずに高速に乗った場合、写真で自動的に車が捕捉され、後日超高額の罰金支払いを請求されるそうです。

あと、高速道路が無料の国もありまして、例えばドイツなんかは無料です。そのため、例えばドイツ→オーストリアの国境を高速道路で超える際、ドイツ領の道路は無料なのが、国境を超えると唐突に有料区間になるという事態が発生します。

工事区間

日本の道路メンテナンスの場合、しばしば「夜間通行止め」や「集中工事」など車通りの少ない時間帯などに道路を完全に閉鎖して、一気に工事してしまうことが多いです。ただヨーロッパの場合、高速に限りませんが、道路工事は基本的に完全に道路を閉鎖せずに行います。どういうことかというと、例えば片側2車線の合計4車線道路がある場合、3~4kmほど片側車線を閉鎖し、もう片側の2車線を対面通行にしてその区間の工事を行います。また、工事中区間は通常のよりも遅い速度(60~80km)に制限されます。そのために、ヨーロッパの高速道路は毎日どこかしら工事しているという状況でして、300kmほど走ると2~3箇所くらいは工事区間を通過します。

ただ、日本の方式の場合、土建屋の皆様は夜間・休日労働で人員を集中させ工事せざるを得ないのですが、ヨーロッパ方式の場合は労働者も平日9時5時と同じような働き方でゆったり仕事ができるので、ワークライフバランス的にはこっちの方がいいのでは、と思ったりします。

最高速度

ヨーロッパの高速道路といえば速度無制限のアウトバーンが頭に浮かぶ人も多いと思いますが、アウトバーンはドイツとオーストリアの一部にしかなく、ヨーロッパの大半の高速道路は最高速度制限がついています。国によってばらつきはありますが、大体130km/h上限が一般的です。が、130km/hで走行車線を走っていると結構な確率で後ろから寄せられたりパッシングされまして、体感ですが大体みんな150km/hくらい出てるっぽいです。他人の旅行系ブログを読むと「ヨーロッパは速度制限取り締まりが厳しい!注意!」なんて書いてありますが、こっちの速度違反取締はどうなっているんでしょうねぇ。とはいえ、捕まるのが怖いので速度上限は守って走行しています。

アウトバーン

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先日、ドイツを車で旅行した際に、アウトバーンの速度制限なし区間で180km/h越えをしてみました。「さすがアウトバーン。本当にものすごいスピードで走れるんだ。」と思われるかもしれませんが、実はアウトバーンは年々速度制限区間が増えています。例えば、速度制限なし区間を走っていても、唐突にカーブがきつめの区間で120km/h制限になったり、合流区間では100km/h制限になったりします。そのため、かなりの速さで飛ばしていたとしても、すぐに速度制限区間に入ってしまい結局速度を落とさざるを得ないため、じゃあもうそんな速度あげなくていいかなとなっちゃいます。また、トラックなどの大型車両はアウトバーンであっても速度制限がある都合上、周りに車がないからと軽快に飛ばしたところで、結局すぐ前のトラックに追いついてしまいやっぱりスピードを落とさざるを得ない、ということも頻発するんですよね。ちなみに、写真の180km/h越えもちょうど周りに車がおらず、なおかつカーブも少なめの道路だったので「いっちょやったるか~」という勢いで出した瞬間最大速度です。あの後すぐに速度を落としてます。

そんなわけで、アウトバーンでは大体130~150km/hくらいで走っていることが多かったです。日本基準からしたらそれでも速いですが、これぐらいの安定した速度で走るのが、一番疲労感も少なく楽なのです。