スロバキア民族蜂起と憲法記念

どうもみなさまこんにちは。

 

スロバキアでは8月29日(日)は「スロバキア国民蜂起記念日(通称:SNP)」、9月1日(水)は「憲法記念日」ということで祝日でした。ちなみに、29日の方は日曜日だったのですが、日本と違って振替休日という概念がないため、実質休みが一日減っただけです。日本の祝日は何かを祝うよりもはや休みを取ること自体が目的化している。

 

さて、せっかくなので両祝日の解説でもしようかと思います。

 

まず、「スロバキア国民蜂起記念日」ですが、時をさかのぼること1938年、ナチスドイツとチェコスロバキアの間でズデーテン地方をめぐる争いが起こり、最終的に英・仏・伊が介入して「ミュンヘン協定」が結ばれ、ズデーテン地方(現在のチェコの一部)はドイツに割譲されます。これにより、チェコスロバキア内の民族運動が過激化しチェコスロバキアは衰弱、最後にはチェコスロバキア地域はナチスドイツの保護下となり、1939年にスロバキアは「スロバキア共和国」として独立します(実際はナチスの傀儡政権)。実はあまり知られていないですが、1939年~1945年のわずかな間にも地図上ではスロバキア共和国は存在しており、日本も枢軸国の一員としてこの国を国家承認していました。

その後、第二次世界大戦が勃発し徐々にナチスドイツは劣勢となるのですが、国外にいたチェコスロバキア亡命政府の支援によって、スロバキア国内では反ナチス武装蜂起の準備を開始。そして、1944年8月29日にバンスカー・ビストリッツァで蜂起します。ただ、この蜂起は残念ながらドイツ国防軍の手で鎮圧され、参加者の多くはドイツによって処刑・拷問を受け、残った勢力が細々とゲリラ活動をして抵抗していました。そして、最終的にソ連側の支援もあり対独抵抗運動は勝利し、スロバキアはドイツ支配から脱却。第二次世界大戦では戦勝国という扱いとなっております。

というわけで、この日はスロバキア民族自決を象徴する日として、各地のSNP記念碑への献花やバンスカー・ビストリッツァにある民族蜂起博物館で式典を行っております。

 

そして、9月1日の「憲法記念日」ですが、これは1989年のビロード革命に端を発した共産体制の終焉及びチェコスロバキア共和国の分離騒動を経て、1993年1月1日を以て連邦制を解消しスロバキア共和国が成立するわけですが、その準備としてスロバキア憲法は1992年9月1日に成立しました。そのため、この日が今存在するスロバキア共和国憲法記念日となっております。

 

同じ週にまたがって国や民族の成立に関わる重要な祝日があるわけですが、その実その間には約60年弱の歴史的な差があるわけですね。